12/6の夢日記

 

随分、長い旅をしていた気がする。私は長旅に疲れて、列車に揺られていた。レールの上を走る列車は、古いせいか木の背凭れが軋み、ミシミシと音を立てていた。

緑色の少し剥げたクッションは寝心地が悪く、私は、ミシミシ、ミシミシ、ガタンゴトン、という音にだけ集中していた。

隣には、白髪というには気が引けるくらい、艶やかな銀色の髪を持った老婆が座っていた。老婆は丸縁の眼鏡をかけており、赤いチェックのショールに身を包み、若々しさを感じる、どこか洒落た雰囲気があった。

私はその老婆と旅先で起きた出来事についてのあれこれを話した。

私と老婆はとても気が合い、老婆は楽しそうに私の話を聞いてくれた。列車が東京駅のホームに滑り込むと、我々は、楽しく言葉を交わし、親密な関係を築けたと思い込めたにも関わらず、名を尋ねることも、明かすこともなく、ましてや、連絡先を交換することもなく、ごく自然に別れた。

東京駅1番ホームに至るまでのレールはなぜか林に包まれており、レールのすぐそばにケーキ屋や雑貨屋といった露店があった。列車の窓から、ピンクや赤いリボンで装飾されたケーキを見つめていると、何だかドキドキした。それらの色は、周囲の木々や自然の持つ緑色に強調されており、特別な不自然さがあった。ケーキなんてありふれている。今日までそう思っていたが、町中に並ぶケーキ屋よりも、林の中にあるケーキ屋の方がずっと魅力的に見えたのだ。何だか、ヘンゼルとグレーテルが森の中にお菓子の家を見つけてしまった時のような――。そんな気持ちにさせられたのだ。

私は列車を下りるとすぐに、レールの敷いてあった林に向かおうとした。東京駅は、土産物を求める人や、買い物をする人たち、早く帰宅して家族を抱きしめたいがために人混みを搔き分ける人たちで溢れていた。あまりの人の多さに移動するにも一苦労した。

1階のフロアから2階へと上がる踊り場で、私は人込みを一歩引いた目で見つめた。

私は今、この人たちのどこにも混じれてはいないが、しかし私はここに存在することで、この『何か目的を持ちながら移動する人たち』に混じれていることに興奮していたが、人混みを見下ろす事で冷静さを取り戻していた。すると、老婆と話したことについての一切の事を、私は思い出せなくなっていた。

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